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06.嗅細胞の回復には「香り」を

風邪を引いたり、花粉症などで鼻に炎症が起きたりすると、香りが感じられなくなるのはよくあることだと思います。この原因のひとつは、嗅上皮に存在し、香りを感じとっている「嗅細胞」が傷害を受けることです。実際、ある種のインフルエンザウイルスに感染すると、嗅細胞が傷害を受け、死滅してしまうことも知られています。

嗅細胞は神経細胞の一種ですが、通常の神経細胞とは異なり、常に新しく再生されています。すなわち、老化、傷害などで脱落する嗅細胞は、新しい嗅細胞とたえず入れ替わっています。この新しい嗅細胞が既存の神経回路に正確に組み込まれるため、古い嗅細胞が失われても、私たちの嗅覚は何事もなかったかのように、もとのままに維持されています。

 

最近、東京大学医学部の研究グル-プは、新しく生まれた嗅細胞は、匂いの刺激入力がないと、既存の神経回路に組み込まれずに、死滅してしまうことを明らかにしました。この匂いの刺激入力は、嗅細胞の新生から7~14日目の間に受けることが重要であり、その間に匂いの刺激を受けないと未熟な嗅細胞は死んでしまいます。この7~14日目の間は、新生した嗅細胞が、既存の神経回路とシナプスを形成する大切な時期でもあります。このように、新生した嗅細胞は、既存の神経回路とシナプスを形成する時期に、匂いの刺激入力があるかないかで、その生死が決定されてしまいます。

 

嗅覚障害状態のヒトには、適切な時期に香りを嗅いでもらい、嗅上皮の再生を増進させる「香りのリハビリテ-ション」が有効である可能性があります。筋肉や神経のさまざまな疾病に、適切な刺激や運動によるリハビリテ-ションが重要であるのと似ています。アロマに囲まれた日々の生活は、嗅覚障害の回復、すなわち嗅細胞の再生、分化成熟にとてもよいと思われます。(by Mashi)

参考文献:Shu Kikuta et al., Sensory Deprivation Disrupts Homeostatic Regeneration of Newly Generated Olfactory Sensory Neurons after Injury in Adult Mice. The Journal of Neuroscience, (2015) 35(6): 2657-2673; doi: 10.1523/JNEUROSCI.2484-14.2015